以下は、私のささやかなメモのようなものである。
しばらくブログに何も書かなかったので、今年になってから、思いつくままに書きつづけていた。(2017年1月21日、前書き)
2017年1月20日(日本時間で21日)、ドナルド・トランプが、アメリカ大統領に就任した。その得意や思うべし。
Trump’s Triumphである。
おなじ日、トランプの就任に抗議する「女性の行進」が、おなじワシントンで行われた。参加者は、マドンナ、スカ-レット・ヨハンソンをはじめ、約50万人。反トランプのデモは、全米各地のみならず、ロンドン、ベルリンなど、70カ国以上、全部で670カ所で開催されたという。
反トランプ感情について――数年前まで何も知らなかったが――ふと思い出したことがある。
私の好きなTVミュ-ジカル、「SMASH」の第9話、「Hell On Earth」に、「シュ-バ-ト劇場」の舞台ミュ-ジカルが出てくる。ヒロインの一人、「アイヴィ-」がコ-ラスガ-ルとしてショ-に出ているのだが、その歌詞に――「共和党だろうが、民主党だろうが、死ねば誰もが『最後の審判』にかけられる」。ジャンヌ・ダ-クは火刑になったし、ナポレオンは失脚した。「ドナルド・トランプ」だって、ビジネスに失敗して、「最後の審判」にかけられるかも知れない、という内容。
トランプが、大統領選挙に出馬する前の2013年のこと。私は、このミュ-ジカルで、ブロ-ドウェイの反トランプ感情について知ったのだった。
トランプの発言は、世界的に大きな反響を喚び起こしている。私がひそかに注目しているのは、ドイツのトランプに対する反応である。「ビルト」は、「トランプの登場によって、世界は極度に複雑化する」という見方をとり、国家主義の悪夢がトランプ政権との信頼関係を構築する障害になると指摘している。
(私もまったく同感である。トランプの登場は、いろいろな点で、アドルフ・ヒトラ-の政権掌握に似ている。後記)
トランプの就任の翌日、ドイツのコブレンツで、極右政党、「ドイツのための選択肢」(AfD)のフラウケ・ペトリ-共同党首が、移民受入れ停止や、人種差別を昂言している。こうした発言から、ヒトラ-の登場した時代をつよく思い出すのは、私ひとりだろうか。
ひょっとすると、ドナルドは自分をヒトラ-の再来と認識しているかも。少なくとも自分がアメリカ皇帝に即位したぐらいに思っているかも知れない。
トランプの閣僚人事をながめるだけで、この大統領の「グ-フィ-」ぶりが見えてくる。これまでのアメリカの歴史のなかで、トランプほど、大富豪や、実業家、金融機関のトップを閣僚に起用した大統領はない。これは大いに注目していいと思う。国務長官に、石油の「エクソン・モ-ビル」の会長、兼CEO(最高経営責任者)、レックス・ティラ-ソンを起用したのも、その一例。
令嬢、イバンカの夫、ジャレッド・カシュナ-を、大統領上級顧問としてホワイト・ハウス入りをさせた。露骨なネポティスモ(親族優遇)というべきだろう。
ただし、残念ながらトランプはアメリカ合衆国「初代」皇帝にはなれない。
1859年から1880年まで、アメリカ合衆国には皇帝が実在している。ジョン・エブラバム・ノ-トンである。皇帝の即位は、「サンサランシスコ・ブレティン」(1859年9月17日)に、「勅命」によって公表されている。
したがって、トランプは、「初代」にはなれない。(笑)
はる寒く 葱の折れ伏す畠かな 太 祇
トランプにはまったく関係がないが、そんな句を思い出す。
春寒し 風に暮れたる 藪の月 蘇 山
(私の歳時記・1)