在日外国人に簡単なアンケ-ト形式で、気に入った日本食のベスト・テンを選んでもらうテレビの企画。そのベスト・トウェンティ-に興味をもったので、かんたんなコメントをつけて書きとめておく。これから、ベスト・テン。
(10) 焼きイモ 草箒で落ち葉を掃く。いくらかうず高くつもった落ち葉のなかに、サツマイモを2.3本、投げ込んで、火をつける。「煙らせて炊き捨てしワラや今朝の冬」(つた女)。ホコホコした焼きイモができている。今はもうそんな風景もみられなくなった。
(9)牡蠣 パリ。ヘミングウェイ、フィッツジェラルド、あるいは、アナイス・ニン、ヘンリ-・ミラ-の描いたパリ。私の知っているパリは――現在のように、高層ビルが立ち並ぶプラス・ディタリーや、戦後の大統領の名をいただいたヴァンサン・オリオ-ルの高架線のシュヴァルレ、ナショナルの新しいビジネス街のパリではない。パリは変わった。だが、かわらないものもある。
カキ。ノルマンデ-のカキが壊滅的な被害をうけたとき、日本からヒロシマのカキが送られたことを思いだす。
(8) 焼ナス 長ナスの漬物が好きだが、焼ナスはあまり好きではない。「秋風に花の散りける茄子かな」(とき)。赤ミソが好きだが、白ミソはあまり好きではない。何か関係があるのかな。
(7)イクラ スジコのほうがいい。むろん、バラバラのイクラも好きだが、スジコを口に入れて、スジの部分から粒々をしごき落とすのがいい。粒々だけなら、キャビアのほうがいい。
(6)里芋の煮物 子イモの六方剥き、火にかけてアク抜き。ミソ汁はマゴイモを選ぶ。キヌカツギもおいしい。
(5) ぎんなん 土瓶蒸し。いろいろな具のなかにいて、ギンナンは、翡翠だったり、トパ-ズだったり。
(4)カツオのたたき それも、9月の戻り鰹、ワラで焼いたもの。在日外国人がもっとも気に入った日本食のベストに、カツオのたたきを選んでいる。このことに私は感動した。