2014年7月6日、土曜日。
田栗 美奈子が電話で知らせてきたあと、すぐに村田 悦子からも電話があった。彼女も野沢 玲子の死を知って悲嘆にくれ、声がかすれていた。
お通夜に出席してくれた田栗 美奈子は、式場に飾られた野沢 玲子の写真と、列席した仲間たちの写真を送ってくれた。
堤 理華も手紙で、野沢 玲子のお通夜のようすをつたえてきた。
玲子ちゃんは青い服を着て、ワインを片手に祭壇の中央で、いたずらっぽく、幸せそうにほほえんでいました。美しい祭壇でした。白を基調に薄いピンク、紫、青の花々に緑の葉をあしらい、船のような、雲のような、玲子ちゃんにとてもよく似
合っていました。最後、お顔をみることもできました。きれいなピンクの口紅をさしていました。
森 茂里も手紙で、野沢 玲子のお通夜のようすをつたえてきた。
悲しみが胸にあふれて、涙がとまらなくなっていた。
玲子さん。
私は、きみの死がまだ信じられない。いつも、きみのウィットにとんだ話を聞くのが、どんなに楽しみだったことか。きみの魂のなかには、なんというすばらしい世界が隠されていたか。ワインだけではない。
梅雨寒や ワインの味に 思ふこと 中田 耕治
いずれきみに会えるだろうと思う。そのときは、ワインを飲みながらヴァージニア・ウルフの芝居の話をしよう。「波」だって「ダロウェイ夫人」だっていいさ。
天国にもワインぐらいはあるんじゃないかな。きっと。