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ある同人誌のエッセイを読んでいて,こんな一節を見つけた。

……文章に上達しようと思ったら、まず他人の文章を模倣することです。その
もっとも効果的な方法は何かといえば「書きうつす」ということでしょうか。

これは葉山 修平のことば。これをうけて、エッセイの筆者は考える。

感銘を受けた結びの文章に出会ったら書きうつしてストックし,それを模倣すれ
ばいいのではないか。学ぶは”まねぶ”なのだ。新聞や雑誌で読んだ上手なしめ
くくりを採集し、キーワードで分類してパソコンに入力することを始めた。

これを読んで思わず笑ってしまった

この筆者は、「新聞や雑誌で読んだ上手なしめくくり」を分類する。その分類項目は、期待、推測、疑問、楽しみ、反省など、50項目におよび、約700例を集めたという。奇特な人もいればいるものである。この分類は、「しめくくり事典」だそうな。

たとえば――「楽しみ」の例を見よう。

・生まれ変わったつもりで、ゆったりと生活を楽しもう。
・(日々の暮らしは、こんなちょっとした工夫で)楽しさが広がっていく。
・力を抜いて楽しんで生きるに限る。
・生きている限りは、若い日も老いた日も、それなりのたのしみ方をしたい。
・~になるなんて、なんだか胸がときめくではないか。
・ささやかな贅沢である。
・極楽だ。
・~を、今から楽しみにしたい。

この「しめくくり事典」を使えば、たちまち文章が上達して、このエッセイを筆者のように楽しそうに書けるかも。
(つづく)