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毎日のように活動写真を見た。見たことのない映画ばかりだったから。
UCLA「バークリー校」には,キャパシテイー200、小講堂の映画館があって、日替わりでハリウッド映画、さらに世界各国の映画を上映していた。私は毎晩通いつめたので、モギリの女子学生が私の顔をおぼえてくれた。とても綺麗な女子学生だった。

私が見たサイレント喜劇は,ビビ・ダニエルズ、リア・デ・プチ、コリン・ムーアなどの2巻もの。長くても5巻もの、7巻ものばかり。途中でフランスのルイ・マルの映画も見た。(むろん、これはサイレント映画ではない。)
ある晩、市川 崑の「ビルマの竪琴」を見た。私は「俳優座」の養成所の講師だったことがあって、この映画には私のクラスにいた生徒たちがたくさん出ていた。
いい映画を見た感動と、遠い異国で思いがけなく知人に再会したような感傷もあって、暗い座席で私は涙を流した。

バークリー在住のレバノン人のレストランで。

春日遅く 異国の店のシシカバブ