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 まだ、寒い日がつづいている。
 高橋 淑子さんから、寒中見舞いをいただいた。その一節に、「わたしはほとんど隠居のように俳句などひねって暮らしています」とあった。これが、私の心を揺さぶった。私の境遇も、さしずめ横町の隠居のようなものだから俳句などひねってもおかしくないだろう。そんな気がしている。

しばらく前に……書いたのだった。
 「俳句や、歌舞伎、遊女のことなど、これまで書く機会がなかったテーマも、ときどき書くつもり」と。
 ただし、自分でもこれはと思う俳句などあろうはずはない。まして、人に披露するなど、聞かされる側にすればさぞや片腹いたいだろう。
 にもかかわらず、「横町の隠居よろしく」このブログで披露させていただく。

 題して「亜米利加紀行」。まずは、バークリー雑詠。

    シスコ湾(ベイ)の波のきららを横断す

    路上に遊ぶ 幼き姉妹の肌黒く

    黒人少女の眸(め)のきらめきも 春なれや

    杏咲く バークリーの街のたたずまい

    古書を買う バークリー 春のバーゲンセール

    春の路上 ノーベル賞学者とすれ違う

    春の朝 バークリーの起伏をジョギングして