数年前のことだが、地下鉄の神保町で、フランス人の旅行者に道を聞かれた。私のカタコトの外国語でもなんとかつうじたが、地下鉄の路線系統図はわかりにくい。しかも、とっさに切符の値段がわからない。江戸ッ子の私のほうがうろたえた。
例えば、地下鉄の標識や、地名。
TOCHO
SORIKANTEI MAE
KOKKAISEIMON
こんなものが、外国人にわかるはずがない。
在日外国人でも、TOCHOを、すぐに「都庁」と理解できる人は少ないだろう。
そこで、オリンピック開催を機会に、英語にしようということになった。
都庁は TOKYO METROP0LITAN GOVERNMENT OFFICE
総理官邸前は PRIME MINISTER’S OFFICE
国会正門前は NATIONAL DIET MAIN GATE になる。
意味はわかる。しかし、私のように高齢者には、ひどく読みづらい。
通り、街道も、外国人にわかりにくい。
KANETSU JIDOSHADO
OME KAIDO
これを、KANETSU AUTO-MOBILE WAY
TO OME-KAIDO AVE.
としたところで、ゴチャゴチャしてわかりづらい。
私は、標識の英語化に反対ではない。しかし、1986年の「改正標識令」の様な、機械的なアルファベット併記の指示が、実情を無視したものだったことを肝に銘ずべきと考える。
このとき、ローマ字化、英語訳に統一的な基準をきめなかったため、
HIBIYA PARK
AOYAMA DORI
などという混乱を招いた。
今度の標識の改正には、もう少し、頭を使ってもらいたい。
(つづく)