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「SMASH」は、スティーヴン・スピルバーグ制作・総指揮のTVドラマ。
スピルバーグが、ハリウッド女優、それもマリリン・モンローの生涯を描いた作品のプロデュースをしている。しかも、ミュージカルという。
私はマリリン・モンローの生涯を描いたミュージカルとばかり思って見たのだった。
「エビータ」はエバ・ペロンの伝記を舞台化したミュージカル。「ジーザス・クライスト・スーパースター」はイエスの生涯を舞台化したミュージカル。そういう意味では、「SMASH」はマリリン・モンローの生涯を描いたミュージカルではない。
マリリンとは関係なく――ブロードウェイのショー・ビジネス、そのインサイド・ストーリー、ないしはバックステージ・ドラマというべきもの。
「SMASH」は、すばらしい女優たちが出ている。
キャサリン・マクフィーと、ミーガン・ヒルティー。このふたりのコントラストが、そのまま葛藤(コンフリクト)になっている。
ストーリーは――女性作詞家、「ジュリア」(デブラ・メッシング)が、「マリリン・モンロー」を題材にしたミュージカルのアイディアをつかむ。「リディア」とチームを組んでいる作曲家、「トム」(クリスチャン・ボウル)が、作曲にとりかかる。その企画に、プロデューサー、「アイリーン」(アンジェリカ・ヒューストン)が関心をもつ。
ブロードウェイで上演される前段階のトライアルとして、ワークショップが進行する。
このTVミュージカル・ドラマは、「マリリン・モンロー」という女優の伝記を舞台化するミュージカル――その制作の企画段階から、作詞、作曲、プロデューサーによる出演者の交渉、オーディション――とくに、主役の「マリリン・モンロー」をめぐる新人女優ふたりのはげしい競争、そして出演者たちのいりみだれる「関係」――舞台ミュージカルのテレビ・ドラマ――ということになる。