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私は、ブロードウェイを舞台にした映画をたくさん見てきたひとり。

20世紀はじめのブロードウェイ。若くて貧しい娘(ジェニファー・ジョーンズ)が、ニューヨークをめざして、シカゴから出てくる。彼女はブロードウェイの舞台で成功するが、その蔭で、彼女を愛した男(ローレンス・オリヴィエ)が失意の果てにホームレスに落ちぶれる。シアドー・ドライザーの「黄昏」。この映画は1953年の作品。

20年代。アメリカのトーキー草創期に公開された「レビュー時代」。
ジンジャー・ロジャースよりも、もっとみごとな肢体を見せていたエリナー・パウエルの「踊るブロードウェイ」、「踊る不夜城」。
ジンジャー・ロジャースよりも前に、フレッド・アステアがエリナー・パウエルを相手に「踊るニューヨーク」。

ブロードウェイをめざす無名の女優たちが寮のようなアパートに暮らしている。ジンジャー・ロジャースは、舞台に立つためならプロデューサーに身をまかせてもいいと考えている。アンドレア・リーズは、何度オーディションを受けても落ちてしまう。そこに、驕慢な、富豪の令嬢が入ってくる。キャサリン・ヘップバーン。キャサリンは成功するが、アンドレアは自殺する。1937年の「ステージ・ドア」。

ブロードウェイの絢爛たる光の洪水のなかで成功するアーティストたち。失意のどん底を這いずりまわる落伍者たち。
落ち目になった女芸人と、その娘。「喝采」(1929年)は、ルーベン・マムーリアンの処女作だった。主役は、美貌のヘレン・モーガン。

「戦後」の「喝采」(1954年)。アルコールに溺れて凋落したシンガー(ビング・クロスビー)と、彼をささえて立ち直らせようとする妻(グレイス・ケリー)、もう一度、舞台に立たせようとする演出家(ウィリアム・ホールデン)の物語。原作はクリフォード・オデッツ。この映画で、グレイス・ケリーがアカデミー賞を受けたっけ。

もっと近いところでは、ウデイ・アレンの「ブロードウェイのダニー・ローズ」。ブロードウェイにひしめく下積みの俳優たちの哀歓。おなじウデイ・アレンの「ブロードウェイの銃弾」(1994年)は、せっかくいい芝居を書いた劇作家が、落ち目の大女優のわがままや、マフィアの親分の可愛がっている女優にふりまわされる。
6部門にノミネートされながら、ウデイは何ももらえず、ダイアン・ウィーストが、ちゃっかり助演女優賞をもらった。

ブロードウェイ。
タイムズ・スクェアにあふれる絢爛たる光の洪水。
ショー・ビズネス。

私は、最近、「SMASH」(2013.4)を見た。