しばらく、このブログを休んだ。私としてはめずらしいことだったが。
昨年、夏過ぎて、どうも眼がかすんできた。英語のテキストが読めない。そのうちに、普通の本も読みづらくなってきたので、診察を受けた。
白内障という。
手術の結果、順調に視力を回復したのはうれしかった。
眼がかすんできたせいで、あまり本を読んでいない。というより、ずっと怠けて、本を読まなくなってしまった。同人雑誌、「朝」32号だけは読んだ。この雑誌は、竹内 紀吉、宇尾 房子が同人だったので、必ず読むことにしていた。現在でも、執筆者には知人がいるので、今でも送って頂いている。
同人の中村 俊輔が「真説 真杉静枝」という評伝を連載している。すでに、22回におよぶ連載で、今回は「宇野千代から林真理子まで」という章の第一回である。
冒頭の部分に、こんな記述があった。
この真杉静枝を書き始めた頃、「作家はその書かれた作品によって評価さ
れるものであり、作品以外の個人的な動向を取り上げても、そんなものは
調べるに値しない」と諭された。
諭してくれたのは、小説や評論など沢山書き残した眼科医の庄司肇であっ
た。作家を対象に書くのなら作品を論じるべきであり、個々の動向につい
て目を向けるのは邪道である。評価するに値しない作品しか残さなかった
真杉静枝を取り上げるのは無駄であると、諭された。そして調べるに相応
しい作家の名を数人告げられた。趣味で書いている者としてはありがたい
事であった。しかし文学史上に残る作品を書いた作家でなければ、取り上
げるに値しないということはないはずと考えている。
この記述から私は作家の庄司 肇さんを思い出した。
(つづく)