1448

2012年は、私にとっては悲惨な年だった。どうも、ろくなことがないまま終わろうとしている。

何も書く気が起きない。スランプというわけではないのだが、少しでもまとまった作品としては「バーバラ・ラマール」ぐらい。サイレント映画のスターで、ほとんどニンフォマニアックな奔放な性生活のうしろに何がひそんでいたのか。これは「映画論叢」に発表した。

 

歳末、俳句を詠む。

眼を病んで 師走の街の 日の翳り
冬 舞台 影 実体と 仮面劇

どうも拙劣だが、こんな句がふと口に出た。

年の瀬や 書くべき文も書かずゐて
年の瀬や 逢うて詮なき もの思い
年の瀬に ロワール・ワインの果報かな
つごもりや 八十五翁のもの忘れ
冬ざれの雨 思い出のマルセイユ

 

そして、冬の一日、飼っていたネコが急死した。春秋すでに高き私にとっては大きな痛手になった。

山茶花の 散りしく庭に チル眠る

 

「チル」の死後、私は不淑(ふしゅく)を悲しんでしばらく筆をとらなかった。
そして、いよいよつごもりである。
このブログを読んでくださる皆さんのご多幸を祈って。