言葉の誤用の例としては――
「舌先三寸」(本心ではなく、うわべだけの巧みなことば)を、ただしく使っている人は23・3パーセント。じつに56・7パーセントの人が「口先三寸」という。
「食指が動く」は、38・1パーセントが正しく、31・4パーセントが「食指をそそられる」という。
「のべつまくなし」を「のべつくまなし」という人は、32・1パーセント。おやおや。これは、幼児的な誤用だが、「隈なく」が影響したものか。
正しく「のべつまくなし」といっている人は、42・8パーセント。しかし、これもいずれは、逆転するだろう。いや、その前に、死語、廃語化するだろうな。
「物議をかもす」を「物議を呼ぶ」という。これは、まだ58・6パーセントの人が正しくつかっている。「呼ぶ」派は、21・7パーセント。
「二つ返事」は、42・9パーセントの人が正しく使っているが、「一つ返事」のほうが、46・4パーセント。これは、もはや逆転している。
これで思い出したのだが――私が大学で教えていた頃、学生のリポートを読むことが多かった。毎年、誤字、脱字の原稿を読まされるのに閉口したが、ときどき言葉の誤用にぶつかって呆然とした。
学生のレポートで、「婚前一体」という熟語を眼にしたときは、抱腹絶倒したものだった。
あげていうべからず。不可勝道。いちいちいっていたらきりがない、という意味。いまどき、こんなことばを使ったら、けげんな顔をされるか、笑われるだけだろうな。
こちらも「けげんな顔」のかわりに、「ドヤ顔」でもしてみせるか。(笑)