No one ever learned literature from a textbook.
I have never taken a course in writing.
I learned to write naturally and on my own.
I did not succeed by accident;I succeeded by patient hard works.
Verbal dexterity does not ma kes a good book.
文学を教科書からまなんだものは一人もいない。
私は書くために(大学の創作科のような)授業を受けたことは一度もない。
ひとりでに書くことを身につけ、独力で書いてきた。
偶然に成功したのではない。忍耐づよい、くるしい仕事のおかげで成功したのだ。
ことばの器用さだけでは、いい本はできない。
誰でも経験することだが、色々な本を読んでいるうちに、まるで自分のために作家が書いてくれたのではないかと思うような言葉を発見することがある。
そういうことばは――たとえ、そのことばを読んだ本を忘れてしまっても――そのことば自体は、心に残るだろう。
私はヘミングウェイのようなえらい作家ではない。文学部で勉強してきたが、アメリカの大学の創作科のようなコースもなかったし、有名な作家たちの講義もいろいろと受けたが、創作の授業を受けたことは一度もない。
自分で、いろいろと書きつづけているうちに、なんとなく書くことを身につけたのだから、やはり独力で書いてきたといっていい。
私は作家として、まあ、無名作家に近いマイナーな存在にすぎない。そのことを恥じる必要はない。
ただ、しがないもの書きとして、それなりに「忍耐づよく、くるしい仕事」をつづけてきた。
私はいつも考えつづけてきたのだ。なぜ、ある人は才能に恵まれているのに、ある人は才能に恵まれないのか。
「忍耐づよく、くるしい仕事」をつづけることも才能の一つ。それは間違いない。
ただし、今年のように猛暑がつづくと、「忍耐づよく、くるしい仕事」なんかとても続けられない。
だけどさ、ヘミングウェイさん、あんただって猛暑の中で「アフリカの緑の丘」を書いたわけではないよね。地球の異常気象を知らなかったパパがうらやましいよ、まったく。