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ロンドン・オリンピックの開会式。
あれほど大規模なイベントだから、どんなに周到に準備しても、小さなトチリは起きるだろう。
この開会式で、オープニングに登場したポール・マッカートニーが、歌いだしたとき、奇妙なことが起こった。マッカートニーの歌声が、少しずれて、ダブって聞こえてくる。誰もが、そういう「演出」なのかと思って見ているうちに、やはり何かの事故が起きている、と感じた。口パクでやる予定になっていたのか、録音してあったものが流されたらしい。マッカートニーは動揺を見せずに歌いつづけ、まもなく、生の歌声だけになった。
(このあと、各国の選手団の入場式が行われる。折しも、日本選手団の場内行進が、じつに不快なかたちで妨害された。この事態は、ポール・マッカートニーの件とはまったく違う。)

もうひとつ。
サッカーで、日本vs韓国戦で、日本は敗れた。
その直後、韓国の選手が、何か大書したプラカードを高々と掲げた。韓国語だったから、そのときはどういう内容か分からなかったが、「竹島は韓国領」という趣旨のものだった。
この選手は、韓国で英雄視されたという。

私はこの行為がオリンピック憲章に違反するものと考える。そして、きわめて品位のない行為と考える。

日本側のサッカー協会に対して、韓国のサッカー協会から、非礼を詫びるメッセージが届いたという。

この始末も、日本のジャーナリズムはほとんど報道しなかった。

私は、これらの事件をロンドン・オリンピックの汚点と見る。
日本人はこうした「侮辱」を見逃すべきではないと考える。
日本のジャーナリズムが、この事件に関して「頬かむり」をきめ込んだことも忘れてはならない。
「ことなかれ主義」が、継続的にくり返される小さなできごとの累積で、最後にどういう結果をもたらすか。私たちは、これまでにも嫌というほど見せつけられてきたではないか。
些細な行為だから、黙って見過ごせというのだろうか。

誰も何もいわないまま見過ごした事件だが、ここに記録しておく。