注目すべき報告を読んだ。
それぞれが日本の未来に関する一種の予言といってよい。それによれば――21世紀後半の日本は、先進国の列から脱落するという。
まず、第一に――経団連の付属機関、「21世紀政策研究所」のリポート。
このリポートは、「グローバルJAPAN 2050年シミュレーションと総合戦略」という。
その内容を要約してみよう。
(1)
日本が、ほかの先進国なみの生産性を維持するのは、2030年あたりまで。その後は、マイナス成長の時代に移ってゆく。
2041年から50年にかけての国内総生産(いわゆるGDP)の成長率は、平均でマイナス0・47パーセント。すなわち、中国、アメリカと比較して、じつに1/6という状態になる。(2010年と2050年を比較する。)
(2)
2050年の時点で、国民、1人あたりのGDPは、世界の18位。(比較のためにあげておけば)韓国は14位。つまり、ついに、韓国にも抜かれる結果になる。
(3)
このシナリオは、4つの予測が可能になる。
それを、以下に並べてみよう。
(4)
もっとも楽観的なシナリオ。
2050年、日本の国内総生産(GDP)の試算は、4兆1710億ドル。
(現在の4兆850億ドルをややうわまわるが、中国、アメリカ、インドにつづいて、世界の4位。)
(5)
現在を基準としたモデレートなシナリオ。
2050年、日本の国内総生産(GDP)の試算は、4兆570億ドル。
(現在の4兆850億ドルを下まわっても、中国、アメリカ、インドにつづいて、世界の4位。)
(6)
これまでの、「失われた20年」がこのまま続く場合。
(4)の中国、アメリカ、インドにつづいて、ブラジルが日本を抜く。つまり、日本は5位。)
(7)
悲観的なシナリオ。
2050年、日本の国内総生産(GDP)は、2兆9720億ドル。
中国、アメリカ、インド、ブラジル、ロシア、イギリス、ドイツ、フランス、インドネシアに抜かれて、日本は9位。)
残念ながら、このリポート自体を批判する学問的な能力がない。したがって、経済学、社会学、統計学的にこれをどう見るべきなのか、答えはだせない。
私としては、ひとりの国民として、どう受けとめればいいのかを考えた。
暗澹たる思いがあった。
これは、まさに存亡の危機ではないか。