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ゲーテにこういう詩がある、という。読んだような気がするけれど。

世界は粥で作られてはいない
君等は懶けてぐずぐずするな
堅いものは噛まねばならない
喉がつまるか消化するか、二つに一つだ
(「ゲーテ詩集」岩波文庫)

ようするに、噛むのに苦労するようなものでも、バリバリ噛む。フニャフニャのお粥なんぞ食らって腹をみたすなかれ。そういう意味だろう。

私はゲーテにほとんど関心がない。
「ファウスト」も「ウェルテル」も「ウィルヘルム・マイスター」も読んでいる。「ヘルマンとドロテア」だって読んでいる。しかし、おもしろくなかったねえ。
歯がたたなかった、というよりも、食欲をそそらなかったというべきか。

 

たしかに世界は粥で作られてはいない
しかし、お粥さんを頂くときに、どこのドイツが世界は粥で作られてはいないなどと考えるのか。
オラッチは懶けてぐずぐずるのがうれしいのさ

堅いものは噛まねばならない、だと?
おきやがれ、堅くて噛めねえものもあるんだ
なんなら舐めたり、しゃぶったりすりゃあいい
喉がつまったら、すぐにも指をつっ込んでゲーッテ吐き出すほうがいい

ゲーテを読まなくてもシラーが読めなくても少しも恥じる必要はない
生きるよろこびはあたたかくて、湯気のたつお粥さんが舌から喉を通ってゆく味わいにもあるのだから。

 

由飲食過度、飢飽失節、我的消化力弱。
ごめんなチャイナ、ゲーテさん。