暑い。例によって、頭がろくに動かない。(ウゴかない、のではなく、イゴかない。)そこで、またまた俳句の話。
炎天に 照らさるる蝶の 光かな 太 祇
いいなあ、さすがは太 祇先生。いいよ、これ。
今年の夏は、わが家の庭で蝶々を多く見かけた。
わが家のバカネコがつかまえて見せにくる。
「バッキャーロ。せっかく遊びにきてくれた蝶々をとって、鬼の首でもとったような顔で見せにくるんじゃねえ!」
炎天の 空に消えたる 蝶々かな 冬 葉
炎天や 水盤に憩ふ 蝶を見る 百 竹
こんな風情は、もうどこにもない。どこでも見られない。
炎天の日に いらいらと 毛虫かな 橡面坊
今のご時世なら――「炎天の日に いらいらと 放射量」だね。
「炎天の日に いらいらと 菅首相」でもいいか。内閣支持率、18パーセントだってさ。(’11.8.8)鳩ポっポでさえ、19パーセントだったから、こらまた、いらいらだなあ。
ま、退陣の日程がきまりかけているのだから、ま、いっか。
私の住んでいる界隈は、台風も寄りつかない。だから、ほかの土地では「八大龍王雨やめたまえ」と祈っているのに、雨さえも降らない。
三五つぶ 蓮に落ちけり なつのあめ 大江丸
夏になると、わが家の近くの公園に、天然記念物の大賀ハスが咲くのだが、「三五つぶ」の雨も降らないせいで、干割れた泥のあいだに、申しわけなさそうに立っている。
降る雨の ただ夏らしくなりにけり 公孫樹
先日、ニューヨークの株が、一時、385ドル安。(’11.8.9)株価暴落。東京、アジア、ヨーロッパと連鎖反応をおこした。
東京市場だけで――6月末から8月にかけて、株式の時価総額は約27兆円、フッ飛んじまったという。
背筋が寒くなった。涼しくていいが、ここにきて、世界的な恐慌(デプレッション)なんて、冗談じゃないぜ。……
私のような貧乏人が気に病んだって、仕方がない話だが。