北海道大学の進化生物学者、長谷川 英祐先生はアリの行動について、
働かないアリは、サボろうとしているのではなく、働く気はあるのに、反応が遅いため、先に仕事をとられてしまって、結果として働けないのです。
と、いわれる。
ひゃあ、そうなのか。私は、最近の自分の沈滞ぶりを――働く気はあるのに、反応がにぶくなったため、何も書けないのだと思うことにした。(笑)
これは、冗談だが、長谷川 英祐先生のインタヴューは、私にいろいろな「刺激」をあたえてくれた。
長谷川 英祐先生は、アリがいっせいに働く場合と、いちぶがかならず休んでいる場合を比較する。
当然、全員が働くシステムの方が効率は高い。時間あたりで、多くの仕事を処理できた。しかし、「働いた者は休まなければならない」という条件と、「作業が途切れると、コロニーが絶滅する」という条件を加えると――
働かないアリがいるコロニーのほうが、長い時間持続できるという結果がでたという。
長谷川 英祐先生のすごいところは、これを推論からではなく、実際のかんさつから導きだしたことにある。
長谷川 英祐先生の研究対象は多岐にわたっているという。このインタヴューで、先生は、
研究対象を絞るというよりは、面白い研究をしたい。基礎科学は芸術と同じで、驚きや感動をもたらさない研究は駄目だと思っています。
私は、科学に関してまったく無知な人間だが――「基礎科学は芸術と同じで、驚きや感動をもたらさない研究は駄目だと思っています」という長谷川先生に共感した。
(つづく)