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アメリカ人もあまり知らないことを書いておこう。

もっともアメリカの資料をあたって調べるのだから――アメリカ人が知らないことではない。そこで、「アメリカ人もあまり知らない」だろうこと。

映画専門の日刊紙、「フィルム・デイリー」が、1922年から、歳末に、全米の映画ジャーナリスト、映画担当の新聞記者、新聞の映画批評家、全国紙の映画評論家、そして映画プロデューサー、著名な映画製作のスタッフ、映画館主などによる投票の集計がはじまっている、だってサ。

1927年のベストテン。

「ボー・ジェスト」
「ビッグ・バレード」
「栄光」
「ベン・ハー」

当時の投票システムでは投票者の所在地で、公開されたものを選ぶことになっていた。そのため、1926年製作の映画、この4本が含まれている。
日本の映画ファンなら、たいてい見ているような気がする。むろん、誰ひとり見ているはずはない。

「肉体の道」
「第七天国」
「チャング」
「暗黒街」
「復活」
「肉体と悪魔」

私が見たのは「ボー・ジェスト」だけ。UCB(カリフォーニア大学・バークレー)の映画科の付設劇場で。
現在、ビデオやDVDで見られるのは、「第七天国」と「肉体と悪魔」あたりか。
つい最近、「第七天国」を見直した。じつに60年ぶりに。
ところどころおぼえていなかったので、新鮮だった。
「ベン・ハー」や「復活」はリメイク作品でしか見られない。    (No.1241につづく)