仙台市の荒町尋常小学校の卒業写真に、私たちのクラスの担任だった先生たちの姿をみることができた。
昭和14年(1939年)の、2月頃に撮影されたものである。
前列、左側から、佐藤 清吉先生。2年のときの担任だった。県展の審査をつとめた画家。私が、美術に関心をもったたのは、この先生の影響かも知れない。
その隣に、校長、横山 文六先生。胸に勲章をつけている。
つぎに、3年の担任だった佐藤 喜三郎先生。柔道の達人だった。
そして、壺 省吾先生。4年、5年、6年と担任してくださった。
この写真にはいないのだが、1年担当だった佐藤 実先生の姿はない。おそらく退任なさったのだろう。
私にとっては、やさしい先生のおひとり。
これも偶然だが、私は、三人の「佐藤先生」と、一人の「壺先生」に教えていただいたことになる。この4人の先生たちの薫陶をうけたことを、私はありがたく思っている。
横山 文六先生には、直接、教えていただいたことはない。
祝日になると、全校生徒が講堂に集められる。やがて、モーニングの正装で、紫の袱紗に包まれた巻物をうやうやしく奉持して、演壇に校長先生があらわれる。
教頭先生の号令で頭を垂れている生徒たちに、かしこくも天皇の勅語を拝読するのが、横山校長の役目だった。へたな朗読で、生徒たちはいつも必死に笑いをこらえていた。
あんまりたびたび勅語を聞かされるので。私はすぐに暗記してしまった。
私は、四年から六年まで、壺先生に教えていただいたことを、生涯のよろこびとしている。
残念なことに、壺先生は数年前に亡くなられた