女人の俳句を読んでいるうちに、俳句のことを考えた。
俳句には用言の連体形止めが、よくみられる。えらい人の句を引用すれば、これはよくわかる。
留守にきて棚探しする 藤の花 芭蕉
まさか藤の花が棚探しをするわけではない。そういえば、昔の人は、よく人を訪問したものだった。たとえば、森 鴎外が新人作家の一葉を訪れたとき、一葉が留守だったので帰りを待って座敷に端然として待っていた、という。
世の中は 何がさかしき 雉(きじ)の声 其角
この句には「雉も鳴かずば打たれまいに」というメタフォーが隠れているだろうと思う。それはわかるのだが、どうもよくない。ごめんなさいナ、其角さん。
鶯や かしこ過ぎたる 梅の花 蕪村
これも蕪村にしては、「かしこ過ぎ」て、あまりいい句ではない。 (つづく)