あまり、好きではない句もあげておこう。
初雪や 門に橋あり 夕間暮 其角
情景も眼にうかぶ。いかにも其角らしいが、おのれの才気をたのむ衒気が見えるようだ。そこで、おなじ其角の
流るる年の哀れ 世につくも髪さへ漱捨つ
といった破調の句を軽蔑したくなる。
桟(かけはし)や あぶなげもなし 蝉の声 許六
これも、おなじ。
かかる夜の 月も見にけり 野辺送り 去来
これまた、おなじ。
よい声の つれはどうした ヒキガエル 一茶
以上、四句。用言の終止形でとめてある。いずれも、作者の力量はわかるけれど、あまり感心しない。
たとえば、
鶯(うぐいす)の かしこ過ぎたる 梅の花 蕪村
これも好きになれない。