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あなたは、3分ですか、4分ですか。
私の質問にすかさず、3分半です、と答えてくれたレディがいた。
このやりとりの下敷になっているのは、ジェームズ・ボンド。彼がボイルド・エッグ、半熟タマゴと指定する時間である。アホな私は、ジェームズ・ボンドの真似をして、ボイルド・エッグは3分半ときめていた。
だから、このレディが私の質問をすぐに理解してくれたことがうれしかった。

タマゴをゆでているうちに、うっかり時間をまちがえてゆで過ぎることがある。(うっかり、じゃない。しょっちゅうだね。)すっかり、ハードボイルドになってしまう。
つい先日、久しぶりにゆでタマゴにしようと思った。当然のようにうっかりして、ガチンコのボイルド・エッグになってしまった。さて、どうしようか。
タマゴをふたつに切ることにした。包丁で切ってもいいが、黄身がくずれるかもしれない。糸を口のハジッコでくわえて、タマゴを手に、糸で切る。うまくいった。
フライパンに、バターを落として、メリケン粉を大サジ2杯、こいつをトロ火でいためて、ミルクを少しづつ。塩、コショーで味をととのえて、私のホワイト・ソースのできあがり。

このなかに、タマゴをしずかに入れて、トロ火で10分ばかり煮込む。

サクラエビ、ホウレンソウの青ゆで、大根の葉ッパをさっとゆでたヤツをつけあわせにする。

けっこう、おいしかったナ。

私と、タマゴ問答をしたレディは、私のクラスで翻訳を勉強なさっていたが、残念なことに亡くなられた。