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名投手、ランデイ・ジョンソンが引退する。新年そうそう、このニュースを聞いてちょっと驚いた。同時に残念な気がした。(2010.1.5)

私はランデイのファンだった。
まるで猛禽類のような顔のランデイがマウンドに立つと、それだけで相手が萎縮するような、圧倒的な存在感があった。
顔を見ていると不精髭に白いものがまじって、野球選手にしてはずいぶんくたびれて見えた。ところが、その鋼鉄のような左腕からくり出される速球の凄さ!
ボールが空気を裂き、うなりを生じて、キャッチャーのミットに飛び込んでゆく。

「ダイアモンドバックス」の頃から、4年連続で、サイ・ヤング賞をうけているほどの大投手だった。私は一度しか球場の彼を見たことがない。テレビで見つづけてきただけのファンだが、相手チームの名だたるバッターたちが、つぎつぎにきりきり舞いをさせられる。舞台で名優を見るような思いというか、ときには、膚(はだえ)に粟を生ずるような思いがあった。
メジャーリーグには凄いピッチャーがいるなあと感嘆した。

昨年、「ジャイアンツ」に移ったが、6月、「ナショナルズ」相手に、300勝を達成した。45歳になっての300勝だから、たいへんな記録といってよい。成績は、8勝6敗。ふつうの投手ならりっぱな成績だが、ランデイとしてはあまり芳しくない結果に終わった。防御率も、4.88。
このシーズン後に、フリー・エージェントになった。
野球人生にどういうかたちで幕を引くのか。ファンとしても、気が気でない思いはあったはずである。
そして、引退を表明した。

通算成績は、303勝166敗。防御率、3・29。
サウスポウでは、通算、4875三振という記録で、歴代1位。

年をとって、自分のからだやゲームが、もうしおどきだと教えてくれるのは、自然の流れだと思う。何度も手術をしながら回復して、健康な体調で投球がつづけられたことを心からよろこんでいる。
引退にあたっての、ランデイのコメント。

感動した。