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いささか、艶冶な詩だが、あいも変わらず私流の自由訳で。
原題は「半睡」。私の訳では、「夢うつつ」。

きみは眉をひそめている
もはや消えそうな 灯(ともしび)に

ふさやかな髪の毛の片方を
枕のかどに 沈めつつ

からだごと 思いきり 私にあずけて
いまはただ 声を殺してしのび泣き

つやのある 綾絹にみだれて
うつつと知らず 夜具をもみしだく

晩唐の詩人の作。
青楼の老鴇子舍に屏居して、夏の天明を迎えるような気分になってくる。

どんな民族も、長い歳月をかけて、ゆっくりと、その女性像のひとつの原型 archetype を作りあげてゆく。これも、中国の美女の一つの典型。