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(つづき)
キミの愛しているカレがキミに見せていない、つまり隠された性格を知って、キミは悩んでいるわけだ。なるほど。だけど、キミ、恋愛しているとき、カレの弱点を知るってノはとてもたいせつだよ。それにサ、カレシィのほうだって、キミの気もちを理解しているようだけど、ときどき、思いがけないことをするだろ。それで、キミは幸福になったり、不幸になったり。そんなんじゃ、とても結婚したって、うまくいかないヨ。

こんなことをしゃべるわけ。女の子はすっかり信用して聞いてくれる。むろん、別のいいかただってできる。

カレの愛しているキミがカレに見せていない、つまり隠していることがある。カレがこれを知ったらどうなる? カレ、悩むだろうなあ。だけど、恋愛しているとき、キミの弱点、というか、キミの過去のモニャモニャを知ってムニャムニャなんてノは許せないんだろ。だけどサ、キミだって、カレの気もちを理解してあげなきゃ。キミが思いがけないことをする。それで、カレは幸福になるかねえ。不幸になるだけだヨ。とても恋愛なんて、うまくいかないヨ。

ごらんの通り、こうしたロジスム、ブラガドッチオ、ないしはレトリックを使いわければ、「銀座のオバサン」や「新宿のお母さん」なみに通用する。

私にいわせれば――手相を見てほしい女の子は、自分自身にとってあらまほしい自分を見たいのだ。つまり、おのれの正当化をもとめている。
恋愛にあこがれている、あるいは、げんに恋愛している女の子たちは、性をふくめて自分の行動をほかの女の子の行動、方法に準じて、それに適合させようとする。
アンジェラ・アキの「旅立ちの歌」のなかに、
自分の心を信じて行けばいい
という一節があるが、「銀座のオバサン」や「新宿のお母さん」たちの占いだって、その程度の人生観、おのれの正当化をもとにして、女たちの期待に答えているにすぎない。
古代中国、天下に最初の王たる、伏犠(フウシィ)は、民に佃漁の法をおしえて犠牲をやしなわしめた。犠牲というのは家畜をさす。
この皇帝は、犠牲を養いて包厨食膳(ほうちゅう/しょくぜん)に充つることをおしえた。そして、左右二相を立て、初めて八卦(はっけ)を畫(かく)したという。
私は易の歴史を思った。
その後、ルネサンスを勉強しているうちに、占星術の勉強もするようになった。やがて、都市国家の支配者たちが占星術によっておのれの生きている時代の運命を占ったのも当然という気がしてきた。

ことわっておくが、女子学生相手の人生相談は無料だった。食事をする時間がなくなって困ったけれど。

最近は暇になったのでまた易者をはじめようか。ただし、女性にかぎる。(笑)
見料はコーヒー一杯。おれがおごるんじゃない。キミにおごってもらうんだヨ。(笑)