「私の愛した男たちは、みんな天才ばかり。これこそは、私が主張するただひとつのこと」と、イサドラ・ダンカンはいう。
すごいね。さすがだなあ。こういうイサドラを私は尊敬する。と同時に、いささかあきれる。
ロダンは、イサドラをモデルに彫刻を作った。このとき、イサドラのあられもない姿態を水彩で描いた。ロダンは終生、このデッサンを筐底に秘めていた。それはきわめてエロティックなものだったが、ポルノグラフィックなものではなかった。ロダンはほかの女たち、たくさんの貴族の女性たちや、下層の娼婦たちまで、ほんとうにエロティックなヌード・デッサンをたくさん描いている。
20世紀の最後になって、ようやくこのデッサンは発表されたが、芸術家として女の本質をとらえようとしたロダンのすさまじい執念を見ることができる。