きぬぎぬや あまりかぼそくあてやかに 芭蕉
かぜひきたまふ 声のうつくし 越人
こういう情緒は、いまの私たちには想像もつかない。私は戦前の吉原を見ているし、戦中の吉原も知ってはいる。だが、こういう情緒は知らない。
きぬぎぬは「後朝」と書く。「あてやか」は、貴やか。「あでやか」というと、いささかなまめいた匂いがたちこめるが、貴やかとなれば、上品でみやびやかな感じになる。
私などは、つい、古川柳を思い出す。
京は君 大阪は嫁 江戸は鷹
(むろん、こんな古川柳も、いまでは通用しないよね。)。
京都の四条、大阪の道頓堀ときて、いまの東京なら、新宿か渋谷、いや、原宿か。まさか、上野、浅草をあげる人はいないだろう。となれば、秋葉原だなあ。
浅草。伝法院通り。この2月、東商店街のビルの壁や、店の屋根などに、大きな人形が出現したという。見に行きたいと思った。
人形は、白浪五人男。
河竹 黙阿彌が、この近辺に住んでいたことにちなんで。