私の好きな歌として、中国、晩唐の詩、「半睡」を引用したいのだが、私のPCには字がない。
野口 一雄先生の読みを紹介する。
眉山 暗く淡く 残燈に向かう
一半の うんかん 枕稜に 墜つ
四體 人に着(つ)きて 嬌として泣かんと欲す
自家は 揉損す がりょうりょう
以下は、私の訳。
燭台の残んの火影に ウエヌスの丘も暗くほのかに見え
頭がずれて ゆたかな髪の半分が枕からあふれ落ち
四肢を相手にまきつけて よよとばかりに浪声をあげようとする
その手は思わず 衾のあやぎぬを もみしだきながら
場面は残燈一戔、おそらくはクレアシォンということになる。眉山は、山なす蛾眉ととるべきだが、あえてモンスとした。「うんかん」は、雲鬢(うんびん)をまるくまとめたヘア・スタイル。「がりょうりょう」の繚綾は、ヴェトナム産の絹という。「が」は字がないのだが、絹の輝き。今のタイ・シルクに似ているかも知れない。
ひとすじにあやなく君が指おちて みだれなむとす 夜の黒髪
与謝野 晶子の一首を思い出す。