『お先まっ暗』でいいじゃないですか。だからこの世はおもしろいんですよ。
私がこんなことをけっしていわない理由がおわかりだろうか。
アフリカ南部、ジンバブエ。
国家経済が破綻している。中央銀行は、昨年11月の時点で、インフレーションの年率が、2万6476に達したと発表した。(’08.2.1)
昨年9月の時点で、インフレ率は、年間、7982パーセント。単純計算でも、2カ月で、3倍。これが現在進行形でつづいているのだから、もはや天文的な数字に達しているだろう。
今年1月中旬には、パン、1斤が300万ジンバブエ・ドル。(公定レート換算で、日本円で1万円相当)。ガソリン、1ガロン、1500万ジンバブエ・ドル。(5万3千円相当)。ジンバブエは『お先まっ暗』どころではない。
超インフレーションのおそろしさは、第一次大戦後の、敗戦国ドイツに見られた。
1923年10月の紙幣流通高は、1913年のじつに4億1300万倍。金額にして2505兆弱という数字になる。
戦前、2マルク60ペニヒだったバタ、1キロが1922年10月には、3500マルク。1923年6月には、じつに3万300マルク。ドイツのいたるところで、略奪と暴動が起きる。
現在の中国の躍進に重なっている異常な物価高騰が、1989年のインフレーション再現の導火線にならなければいいのだが。
インフレーションがおそろしいのは、かならず人間性の頽廃、堕落をともなうことで、テロや犯罪が多発することになる。敗戦後の日本でも超インフレーションは起きたが、これは円のモラトリアムによってなんとか切り抜けられた。
ジンバブエはどうなるのだろうか。
これからどうなって行くのか、誰ひとり見通しが立たない。誰もがはっきりした打開策も見いだせず、何をどうしていいかわからずに茫然としている状態だろう。
ジンバブエのインフレーションは、国家のすべての機能を麻痺させ、あらゆる分野に壊滅的な打撃をあたえている。
1980年から、ムガベ大統領が独裁者として統治してきた。ジンバブエは対外的に戦争をしているわけでもないし、内乱が起きているわけでもない。しかし、これは最悪のインフレで、大統領の責任はきわめて重いがこの独裁者は退陣しない。まさに、『お先まっ暗』といってよい。
『お先まっ暗』でいいじゃないですか。だからこの世はおもしろいんですよ。
なるべくなら、『お先まっ暗』よりは、せいぜい『お先まっ青(マッツァオ)』ぐらいのほうがいい。