ずいぶん昔(1960年代)、アメリカ人、日本人、インド人の食料摂取量の比較を読んでいて、アメリカ人1人の消費量が、インド人、50人分にあたると知った。当時、日本人1人の消費量が、インド人、20人分にあたると知って、アメリカ人は日本人の倍以上も食べているのか、と驚いた記憶がある。
つい最近、ヴァーチャル・ウォーターなるものをはじめて知った。(「読売」08.1.22)。
たとえば、おコメ、野菜、ウシの飼料になる穀物などを作ったりするのに、水が必要になる。その水を「ヴァーチャル・ウォーター」(仮想水)という。
ウシ、ブタのエサになる穀物の栽培には大量の水が必要になる。
トリ肉、1キロに 4・5トン
ブタ肉、1キロに 6トン
牛肉、 1キロに 20トン
の水が使われている。東大の「水文学(すいもんがく)」の沖 大幹先生の推計。
すごい数字だなあ。
「食事メニューごとに必要な「ヴァーチャル・ウォーター」(仮想水)1人分の量は、
牛丼(並) 1887リットル
ハンバーグ 1859リットル
スパゲッティ・ミートソース 1397リットル
ポテト・チーズバーガー 1099リットル
カレーライス 1095リットル
ごはん 238リットル
バター・トースト 231リットル
オレンジ・ジュース 168リットル
この試算によれば、牛丼(並)1杯は、お風呂(180リットル)に換算して、なんと10杯分になるそうな。知らなかった、というより、そんなことは考えもしなかった。
この沖 大幹先生の研究グループが、日本、アメリカ、中国、ケニアの家庭の、ある一日の食事に投入されているヴァーチャル・ウォーター(仮想水)の量を調べた。
アメリカの家庭1人あたりの(仮想水)は、 2489リットル
中国 の家庭1人あたりの(仮想水)は、 1954リットル
日本 の家庭1人あたりの(仮想水)は、 1611リットル
ケニア の家庭1人あたりの(仮想水)は、 1351リットル
こういう記事から、いろいろなことを考える。
日本は資源に恵まれないのだが、水資源だけは豊富らしいこと。それでも、いつか、貴重な水資源が枯渇する可能性があるらしいこと。
ヨーロッパの尖端科学でも、「ヴァーチャル・ウォーター」(仮想水)の研究は進んでいるのだろうか。もし、研究しているとすれば、どこの国においでさかんなのだろうか。
いずれ、「戦略水」から降水発電戦略、「雲流るる涯」から気象資源争奪などという思想、競争概念も出てくるかも知れないなあ。