松 たか子が、「読売演劇大賞」の、最優秀女優賞をうけた。
『ひばり』、『ロマンス』の演技で。
笹本 玲奈が『ウーマン・イン・レッド』で、杉村春子賞を受けた。
ともに慶賀すべきことだと思う。
松 たか子は、数年前にテレビ・ドラマで「金子 みすず」を演じたが、このあたりから、大きく変わったと思う。
ただし、『ミス・サイゴン』の松 たか子が意欲的にミュージカルに挑んだことは認めるけれど、もともと声質もミュージカルにむかなかったし、結果的に魅力が出せなかったと思う。その点、今回、「読売演劇大賞」でもミュージカル専門の笹本 玲奈のほうがずっと安心して見ていられた。
野田 秀樹の舞台(『贋作罪と罰』)の松 たか子は、四角い舞台を一所懸命走りまわっていたが、まだ役が光り輝くところまで行っていなかった。おそらくは演出家も、芝居のなかで、彼女の天性の魅力がおのずと輝き出すと見て、あまりダメを出さなかったのだろう。あるいは彼女のひたむきさにダメダシを遠慮したか。
しかし、松 たか子は、やがて名女優と呼ばれるにふさわしい舞台を見せてくれるだろうと思う。