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 「人生相談」。英語では、Agony Column という。(シャーロック・ホームズを読んでいて知った。今でも使われているかどうか。)
 私は「人生相談」を読むのが好きである。質問がおもしろいだけではなく、回答者がどういう答えを出しているか、いつも興味がある。回答者は、精神科医、作家、デザイナーとか、各界の有名人たち。
 私が感心するのは、作家たちの回答で、立松 和平、落合 恵子、出久根 達郎といった人びとの回答に敬服している。
 ある有名なデザイナーの回答を読むと、こいつ、バカじゃないのか、と舌打ちしたくなることがあって、たいていは軽蔑する。
 古雑誌に出ている「美容流行相談」も読む。

  元来私は頬がこけて、頬骨が出てゐますので、当年二十一才の処女ですが、二十五六才に見え、時には三十才位に見えます。着物の柄は年相当のものを着てゐますが、化粧着付、髪はどうしたらよいでせうか。(珠江)

 回答者は、銀座美容院の早見 君子女史。(昭和4年「婦人世界」12月号)

  お若いのに年がふけて見えるのは嬉しいことではありませんか。ふけて見えるのに年相応のみなりでは調和の問題がどうなりませうか。さうかと申してあまり地味なものはいけませんから、柄ははでにして、色を地味にしてはいかがですか。中年の人を若く見せるにしてもこの方法をとります。

 いまどき「お若いのに年がふけて見えるのは嬉しいことではありませんか」なんてヌカしたら、たいへんだろうね。
 それにしても、ことば使いがいい。「調和の問題がどうなりませうか」。これがいまならハーモニーというより、バランスというところだろう。
 巻頭グラビアの美女は、伯爵夫人、堀田 秀子。子爵夫人、岡崎 岳子。
 グラビアに「年々毎に洋装の方が殖えて、すっかり御自分のものとして着こなしてゐらっしゃる方の多くなりましたことはほんとうに嬉しいことでございます。けれどまだまだ正しい下着の着方について考へてゐらっしゃる方が余りないと存じます」とあって、すらりとした(ただし、貧乳の)上品なモデルさんが、メリヤスシミー、ガーター(コールセット)、ブラジェアー(乳押え)、ブルーマーをつけてお立ちになっている。
 最後に、羽二重シミーズをつけたところ。
 (つづく)