音楽を聴く。
自分の時間ではないような時間のなかで、自分ではないような自分のことを考える。
ロックの時代の終焉という。私の意見ではない。だが、私にいわせれば、ロックの時代はとっくの昔に終ってしまったのだ。
ロックにかぎらないが、いい音楽というものは、作曲者、演奏者が作りあげたものとは、ほんらい別のもののように聞こえるかどうかにかかっている。
おびただしいグループのおびただしい曲がほんの一時演奏されては消えて行った。
けっきょくほんの少数のアーティストだけが残って、あとは、ほんとうに雲散霧消してしまう。どういうジャンルでもおなじことだ。
それでいいと思う。
ただし、いい曲は、かならず変化する。だから残るともいえる。いろいろと変化したり、いろいろなアーティストによって変奏されることによって、その価値(というか、永続性)が保有されてゆく。
いい例が、テレサ・テンの「但願人長久」。この曲が、王 菲によってみごとに変化していること。そのすばらしさに甲乙はつけがたい