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WHO(世界保健機関)の発表。(2007.2.27)
2005年、認知賞の患者数が、約2千400万人。
2030年には約4千400万人(ほぼ1.8倍)になる、という。

日本のように高齢化が進んでいる国や、ヨーロッパ、アメリカなどの高所得層の多い国では、05年、人口、1千人当たり、患者数は約11.4人。30年には、これが約17.5人に増加する。世界の平均では、05年に約3.8人。これが、2030年には、約5.6人。

「先生、お元気ですか」
こう訊かれたときは、「ハイ、マアです」と答えている。ハイ、マア元気ではアルツれど、というおフザケ。しかし、WHOの報告を読むとふざけてもいられない。
『ルイ・ジュヴェ』の中で、演出家、ジャック・コポォの晩年を描いた。彼は認知症であった。知的機能が衰え、記憶も病的に低下した。(第六部 第九章)
俳優のジャン=ルイ・バローは、
「コポーのようなみごとな知性が、全盛の輝きを放ったあとで、まるで日食のように、一瞬に隠されてしまうのをじっと耐えて見ていることは、私たちにはひどくつらいことだった」
と書いている。

私の場合は、せいぜいボケ老人になるだけのこと。これはもう仕方がない。ただ、自分の気もちとしては、できれば任痴症でありたい。痴に任せる。もともと愚かな人間なのだから、愚かに生きるしかない。
この「コージートーク」を書いているのも愚行のひとつ。