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「諸君」に、フランシス・フクヤマのインタヴューが出ていた。

フクヤマは、日本の核武装に反対している。その理由は、
「現在の日本が自主防衛能力を持つことは、東アジアのパワー・バランスを崩すことになる。したがって、アメリカの視点からは、日本が急速に国防力を増強することは望ましくない」
これに対して、インタヴュアーの伊藤 貴は、中国の経済的、軍事的な発展を指摘しながら、
「今後20年間に、東アジア地域のパワー・バランスは激変する。2020年代に入って、東アジア地域におけるアメリカ・中国の軍事バランスが逆転する可能性が強い。そうなったとき〈アメリカの傘〉は万全なのか」
と問いただしている。フクヤマは答えている。
たとえ日本が核攻撃を受けた場合でも、アメリカが北米大陸から、ICBMを発射してそれに報復するということはありえない、と。
考えてみれば、フクヤマの論点はきわめて明快でほかに答えはない。