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近眼になってよかったことは何ひとつない。

ふつう、25歳になると、視力の低下はとまるといわれている。私の場合、30代なかばまで、何度もメガネを変えなければならなかった。

マリリン・モンロ-が「百万長者と結婚する法」で、メガネをかけて、いろいろドジを演じているのを見て可哀そうになった。
中年になって登山に熱中した。冬山を登っていて地図を見たとき、5万分の一の文字が揺らいで、よく見えなくなった。はじめて老眼になったのではないかと疑った。その後、映画を見ていてたまにスクリ-ンがボケることがあった。
おやおや。映写技師がどうかしてレンズのフォ-カスを変えたのだろう、ぐらいにしか思わなかった。いい気なものである。

まだコンタクトがそれほど普及していなかった頃、ある女優さんがコンタクトをしていることを知った。芝居の演出をしていて、その女優さんの芝居がどうも気に入らなかった。そこで、わざとメガネをかけさせて芝居をさせた。メガネをかけると、それまでとは違った演技になったし、どこかエロティックな感じになった。

若いときから眼がよくて、視力が高いほど、老眼になってから苦労するのではないかと思う。

最近はコンタクトが普及して、メガネをかける人は少なくなっている。
しかし、小学校5年のときから近視になった私としては、近眼の子どもたちが多くなってきたことを心配している。