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ある若い批評家が書いていた。

新しい小説の新しさを評価できない人間は退場すべきである。

いいことばだと思う。

ただ、「新しい小説の新しさ」というものは、いずれすぐに新しくなくなってしまうし、わるいことにひどくあっさり古びてしまうのだ。
『日輪』、『ダイビング』、『幽鬼の街』、『太陽の季節』、いくらでも例がある。

「新しい小説の新しさを評価する」ことなどはおやすいご用。ただし、私はもうとっくの昔に退場している。