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江戸の遊女たちには、つれづれに俳句を嗜む女が多かったと思われる。むろん、いい句もあれば、それほどいい句と思えないものもある。吉原の遊女、薄雲や、京都、島原の遊女、長門などの俳句はなかなかすばらしい。
長門は、紋に花筏をつけていた。それを見た客が、なかなか初心なことだと褒めた。半分は嘲りを隠していたのだろう。

流れなる身に似合しき花筏を    長門

遊女という特殊な女でなければ詠めない俳句には哀切なものが多い。

碁一目 苦界の暑さ忘れけり    歌之助

遊女の哀しい生活が想像できる。

暑き日や 女の罪の鉄漿(かね)匂ふ   花 讃

私は、どうも加賀の千代女や、智月尼などの句にあまり関心がない。しかし、遊女たちの句に胸を打たれることがある。

猪も抱かれて萩のひと夜かな    高尾