今年の夏は各地にクマが出没して、人を襲った。森林の伐採や開発が進んで、クマの食料不足が原因らしい。
クマばかりではなく、シカやイノシシなどによる農作物被害も大きい。’04年度の被害は206億円。イノシシが56億円。シカが40億円。
たいてい、地元のハンタ-たちが集まって、ものものしく警戒する。ときには、クマを射殺する。私にとっては、もっともいやなニュ-スの一つ。
むろん、被害を放置するわけにはいかない。
対応できるハンタ-が必要だが、高齢化がすすんで、ハンタ-の数は30年前の1/3以下、約15万人に減少している。
そこで環境省では、来年度から、ハンタ-の育成にあたることをきめた。鳥獣管理の「専門家登録制度」を創設して、ハンタ-や、狩猟計画策定にあたる研究者を全国的に募集する、という。
初心者がハンティングの経験をつむことが必要なので、環境省は全国34カ所の猟区で、狩猟期間を延長するという。ハンタ-たちは欣喜雀躍としているだろう。(’04.11.10.)
ところで、日本には女性ハンタ-はいるのだろうか。あまり聞かない。
戦前に演劇評論家として知られていた渥美 清太郎を読んでいて、「婦(おんな)風景十二ケ月」のなかに、
「近頃は女も山でポンポンやるのが流行(はや)りますな。このひとは、山鳥をねらっているのですか。」
とあった。
この「近頃」は、昭和10年(1935)秋。絵の女性はススキを踏みしだいている。
狩猟服、ガンベルト。ぶっちがえの革ベルト、左に雑嚢、右に水筒。足にゲ-トルというスタイルで、ライフルを構えている若い女性を描いたイラスト。獲物はキジ。
日本画家、清水 三重三のイラスト。
まだ日中戦争は始まっていない。
このお嬢さんは当時のモガのひとりだろう。戦前、おそらく一部にかぎられていたはずだが、女性のハンティングが流行していたとは知らなかった。
そこで、私としては・・・今後、環境省のハンタ-の育成や、鳥獣管理の「専門家登録制度」には女性をどんどん積極的に採用してもらいたい、と思う。
頭のお不自由なお役所のことだから、こんな提言が聞かれるはずもないだろうが。