いつ、それがやってくるかわからない。
だが、誰しもそれぞれ、したたかに思い知らされる。まだ、未決定の将来を前にして、何ひとつ確実なものを手にしていない少年の頃。何も考えない。ただ、楽しいことがいっぱい。あるいは、もう少しおとなになって、少し考えはじめる。ただなんとなく漠然とした不安を感じたり。いつしか胸の底にひそむ、異性へのあわいあこがれが、やがて胸をえぐるいたみに変わることを知ってしまったとき。
そして、老いてゆく。もう、何も考えない。まったく若さがなくなって、自分にもとうに見切りがついてしまった年代に。
年齢や世代には関係がない。
だが、いつか、かならず思い知らされる。
この世に生きてあることのかなしみを。