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「ワールド・トレード・センター」、「16ブロック」、「スネーク・フライト」。
どれも見たいと思わない。「カポーテイ」は見るつもり。
ろくに見たい映画もないときは、少し古い映画、それも公開当時、評判にならなかった映画を見直すことにしている。今見てもけっこうおもしろいものもある。

たとえば、「シリアル・ラヴァー」(ジェームズ・ユット監督/98年)。ミッシェル・ラロックという女優さんを見るつもりで見直した。
35歳になった「クレール」(ミッシェル・ラロック)は、誕生日の夜、自分に関心をよせている3人の男をディナーに招待する。この夜、彼女は結婚の相手を選ぶ決心をしていた。3人そろって彼女に求婚するのだが、彼女にはきめられない。そこで、3人の話あいできめさせようとするのだが、偶然というか必然というかその1人を、「クレール」が、殺害(?)してしまう。おまけに、彼女のアパルトマンでは、折りしも強盗事件が発生して、その捜査に警視庁の刑事がやってくる。
「クレール」は死体を隠さなければならないのだが、ほかの男たちがつぎつぎに死んでしまうから話がややこしくなる。おまけに、彼女の誕生日のお祝いに、妹が仲間の、わけのわからない連中をひきつれて乗り込んできてから、ますます事態は紛糾してしまう。
まるっきりフランスのおバカ映画。ハチャメチャ・ミステリー・コメデイ・スプラッターとしては「毒薬と老嬢」などの系列に属する。
おなじハチャメチャ・ミステリー・コメデイでも、「オースチン・パワーズ」のような下司な作品ではないので、私としてはけっこう気に入っている。

この秋、ニコラス・ケージや、ブルース・ウィリス、サミュエル・L・ジャクスンなんかの映画を見るより、「エリー・パーカー」のナオミ・ワッツ、「サラバンド」のリヴ・ウルマン、「チャーミング・ガール」のキム・ジスを見たほうがよほど勉強になる。

そして、少し昔の映画、公開当時、評判にならなかった映画を見直すのは、自分の映画感覚、ひいては批評意識を問い直すことになる。