野茂 英雄がMLBに移ってから、NHKで中継を放送するようになった。おかげで、本場の野球が見られるようになって、いろいろなプレイヤ-の動きや、ときには内面まで想像しながら、ベ-スボ-ルを楽しむようになった。
サウスポウのピッチャ-。
“サウスポウ”という用語は1885年からのもの。たいていの野球場は、バッターの位置を東にして、太陽が西に沈むとき目が眩まないように設計されている。したがって、ピッチング・ポジションに立った投手が左腕投手なら、左“手首”(ハンド)は南を向く。もともと“サウスポウ”は左腕投手の意味だったが、今ではしばしば左ギッチョ一般をさすようになった。
いいサウスポウ・ピッチャーがどこのチームでも歓迎されるのは、左利きのプレイヤー(選手)は左腕投手に向かうと、右利きの投手ほど打てないから。
野球で左ギッチョが有利なのは一塁手で、打たれたボールを二塁、三塁に投げるのが楽だからである。しかし、ほかの内野の守備では左ギッチョの選手は左側に打たれたボールを投げるときからだをぐるっと廻さなければならないという重大なマイナスがある。
野球史上、もっとも有名な“サウスポウ”は「レフテイ」ゴメス、「レフテイ」グラヴ、サンデイ・コウファックス、ウォーレン・スパーンなど。全員、「野球の殿堂」入りを果たしている。ベーヴ・ルースは偉大なバッターとして知られたが、野球選手になった当時はサウスポウ・ピッチャーとして野球人生を始めた。
ついでにいっておくと、サウスポウ・ピッチャーがそうザラにはいないのは、左ギッチョは全人口の約一割に過ぎないからである。
なぜ、こんなことを書いておくのか。じつは、クリフォ-ド・オデッツの芝居を読んでいた時期、調べたから。