私は美少女が好きである。いや、好きだったというべきだろう。
若松 みゆき、森山聖子、星野明日香、長岡久美、川奈邦子たち。もっともっといたっけ。霧賀魔子。もう、みんな中年のオバサンになっているだろうな。
美少女なら誰でも好きというわけではなかった。宇都宮すばる。一文字 愛。おなじ「みゆき」でも、鹿島みゆきは、それほど好きではなかった。
若松 みゆきは、いうまでもなく、あだち 充のみゆきちゃん。
森山聖子は、「ときめきのジン」のヒロイン。やたらに明るくて、可愛くて。村生 ミオの作品の美少女たちは、「胸さわぎの放課後」の沢田知佳にしても、ちょっとむっちりしていて、だいたい森山聖子タイプの少女が多かった。
星野明日香は、原 秀則の「さよなら三角」。女子高生。すれ違いばっかり。
長岡久美は、明るくて、素直。セ-タ-の胸に白いLOVEという字が浮きだして。
川奈邦子は「翔んだカップル」の柳沢 きみおが、つぎの作品に登場させたヒロイン。どこか、いたいたしい感じがただよっていた。
霧賀魔子は「さすがの猿飛」に出てくる美少女。しばらくして「ラムちゃん」が出てきたので、もう誰もおぼえていないだろう。
80年代の私はマンガをよく読んでいた。いま思い出しても、すぐれたマンガが輩出していた時期だった。系統的に読んだわけではないし、気に入ったものばかりを読んだわけでもない。則巻アラレという美少女が出てきた時代に、石井 隆を読む一方、「番外甲子園」に驚いたり、「あさりちゃん」、「タラッタポン」が好きという、いいかげんなファンだったから、オタクにはならなかった。それでも、「サンケイ」でしばらくマンガ評論めいたものを書いたことがある。ルネサンス関係の本や、文壇小説の書評を書くよりずっと楽しかった。
やがて、担当だった服部 興平が亡くなってこの連載は打ち切られてしまった。マンガについて書かなくなって、美少女にも興味がなくなった。
その後、マンガも読まなくなったが、ちょっと残念な気がする。