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先日、TVでセロという若いマジシャンの芸を見た。手品、奇術を見るのが好きなので、このマジシャンの芸もおもしろかった。
彼はネパ-ルの山村で、マジックを見たことのない子どもたちに、やさしい奇術を見せてやる。子どもたちがびっくりする。素朴な好奇心、食い入るようなまなざし、疑い、見たこともない神秘にはじめてふれた子どもたちの驚きとよろこびの表情。じつにいきいきしていた。TVを見ている私だってネパ-ルの子どもたちとおなじようなものだが。
外国でいろいろなマジックを見たことがある。大きな劇場の席で、驚天動地のマジックを見た。「どこの国にもすごいマジシャンがいるなあ。しかし、これを見る前と見てしまったあとで、おれの人生なんかちっとも変わりゃしねえや」とつぶやく。
私は、どんなに大がかりな仕掛けもののマジックを見ても、驚かされこそすれ、ほんとうに感動したことはない。むしろ、ラス・ヴェガスのショ-を見て、ア-ティストの器量の大きさに感動しなかったか。
そのあと、映画「オズの魔法使い」を途中から見た。ジュデイ・ガ-ランド。何度も見た映画。この映画の主題歌「虹の彼方」が、ベスト100のトップに選ばれている。この曲のおかげで、映画も不朽の名作になっている。
ジュデイ・ガ-ランドという女優の運命を知っているだけに、この映画を見ながらさまざまな感慨をおぼえた。映画にかぎらず芸術作品の評価や、そのたどった運命を考えるとなぜか奇妙な感じにおそわれる。