前に、この「ト-ク」で「シンシナティ・キッド」(ノーマン・ジュイソン監督/65年)にふれた。もう一度、エドワード・G・ロビンソンのことを書いておきたい。
映画は、ニュー・オーリーンズを舞台に、スタッド・ポーカーの達人、「シンシナティ・キッド」と、「ザ・マン」と呼ばれる老人の対決。小味だが、いい映画だった。
この映画のロビンソンは戦争中の「運命の饗宴」、戦後すぐの「他人の家」、さらにそれ以後をつうじて彼の最高の演技だと思う。
ずんぐりと小柄だが、牡牛のような体躯、ひろい額に細眼のまなざし、いつも葉巻をくわえている酷薄な唇、残忍なギャングスタ-をやらせたら最高の役者だった。何かあると、ゆっくりひろがってくる不敵な笑顔がすごい。
おれを知らないやつでも、にやりと笑ったおれの近くに寄ってきたらおもわず恐怖におののくに違いない。そんな笑いかただった。
私にとっては、なつかしい映画スタ-のひとり。