山形の子どもたちは、竹を割って作った竹スキ-でスロ-プをすべったり、「ベンジャ」で、雪のなかをコイヌのようにころげまわっていた。「ベンジャ」というのは、下駄の底に10~15cm程の長さの鉄の板(テッパンというと大げさで、おシャモジの把手ぐらいの厚み、長さ)を埋め込んだもの。いってみれば、下駄スケ-ト。(秋田では、鉄の板2本を埋め込んだ「ヒキズリ」という下駄スケ-トがあって、これとは別もの。)山形ではこれがスキ-の代用品。ミカン箱のソリすべり、雪合戦。少しの晴れ間には凧あげ。 「メドチ」といって、落とし穴に仲間を突きとばしたり、「メントリ」というのは、降りつもった雪にわざと顔を突っ込んだり。わざと落とし穴を作るのは「ドフラ」という。 女の子たちは「スメズリ」。足駄の歯で横すべり。「タマワリ」は、足駄の爪先で、雪をまぁるく押し固め、お互いにぶつけあって、割れなかったほうが勝ち。
女の子は赤い足袋(たび)をはいていたが、なかには素足で、シモヤケの子もいた。ゴムグツをはいている子はほとんどいなかった。不況の時代だった。
家に戻って囲炉裏を囲んだり、「フクサ湯」に手足をつけるのだろうか。干した大根の葉を湯にひたしたもの。
私は都会の子どもだったし、スキ-客だったので、土地の子どもたちと遊ぶ機会がなくて、土地の子どもたちが楽しそうに遊んでいるのを見ていただけだった。