お酒がおいしい季節になった。
「一度でいいから、お酒を酌みかわしたい歴史上の人物は」というアンケートが雑誌に出ていた。
1位、坂本 龍馬(13.1%)、2位、織田 信長(11.4%)、3位、聖徳太子(7.6%)、以下、徳川 家康、クレオパトラ、豊臣秀吉、紫式部、西郷隆盛、小野小町、9位に卑弥呼(1.7%)とつづく。(アサヒビール、お客様生活文化研究所)
このリストを見たら悪酔いしそうだなあ。
第一、織田 信長、豊臣秀吉、徳川 家康づれといっしょに酒を飲んだら、酒の味がしねぇだろう。それに、何を訊こうっていうんだ?
坂本 龍馬と酒を飲むより、どうせなら勝 麟太郎や河井 継之助と飲みたいね。西郷 隆盛よりも、会津の西郷 頼母のほうがいい。明治の人なら石光 真清。
ほかにも酒を酌みかわしたい歴史上の人物は、いくらでもいる。たくさんいすぎて、誰を選んでいいかわからない。
まず、オマール・ハイアムだね。いっしょに酒を飲んで、これほど楽しい相手がいるだろうか。こういう相手なら人生の機微についていろいろと教えてもらえるだろう。
マルコ・ポーロもいいなあ。できれば、コカチン姫の護衛として、やっと帰国が許されたときのマルコ・ポーロと飲んでみたい。
第二に、クレオパトラ、紫式部、小野小町などという女性と酒を飲んだら、眼がまわっちまわぁ。酒の味なんざわかるはずもない。クレオパトラと飲むくらいならテオドラか楊貴妃のほうがずっといい。
杜甫と飲んだら、こっちまで沈痛な気分になりそうだから、やはり李白先生のほうがいい。いっしょにへべれけになるほど酔ってみたい。もっとも、こっちが先にダウンするだろうけれど。
しんみり飲むなら紺屋高尾か、樋口 一葉さん。なんてったって美人だからねえ。
ようするに私は織田 信長から小野小町、卑弥呼まで、このアンケートに出てきた方々とは、いっしょに飲みたいとは思わない。
第三に、私はもともとこういうアンケートが大嫌いなのだ。だいいち酒がまずくなる。