7時少し前、思いがけないひとから電話があった。遅 芳だった。いつも思いがけないときに電話をくれるのだった。今、深せんにいるという。仕事は、政府系の会社で、中小企業の財政コンサルティング。多忙。母は長春に戻った。自分は長姉のところにいるという。なつかしい遅 芳。
今日が私の誕生日と教えてやると、歓声をあげて、よろこんでくれた。さっそくお祝いの品を送るという。いいよ、そんなこと。遅 芳はうれしそうにハシャイでいた。
電話を切って、しばらく遅 芳のことを考えた。私の人生に少しでも喜びがあったとすれば、そのなかに遅 芳を知ったことも含まれるだろう。
(2005年11月)