小酒井 不木を読む。大正末期から昭和初年にかけてのエッセイ。当時は、この程度の知識でも通用したのだろう。隔世の感がある。今は、犯罪学、性科学、すべての分野で、欧米のレベルに比較して遜色のない研究がおこなわれている。
たまたま「血と薔薇 2」(河出文庫)が届いた。ざっと読み返してみた。小酒井 不木を読んでいたせいか、今でも60年代の性をめぐっての熱気のようなものが渦巻いていて、当時のことがいきいきと思い出された。内容もほとんどが古びていない。
澁澤 龍彦、種村 季弘、松山 俊太郎、みんな凄い文学者だった。一時的にせよ、そういう人たちの近くにいた幸運を思う。
この「血と薔薇」に、私は「ポーノグラフィー論」めいたものを書いている。これは少し勉強不足。ほんとうはもっともっと深く追求できた主題なのだが。